当記事では参加者以外にはあまり知られていない、海陽町・まぜのおかで行われているUSFスポーツキャンプin徳島(2018年)を密着取材。
イベントの様子、参加者(子ども、ボランティア、運営者)の感想などお伝えします。
そしてボランティアに参加してみようと考えている方たちのご参考になれば幸いです
子どもたち、ボランティア、講師、みんなの笑顔がとにかく印象的でした。

目次
USFスポーツキャンプin徳島とは
徳島の色んなところから集まった初めて会うお友達と、楽しく様々なスポーツを体験できるイベント「USF スポーツキャンプin徳島」をご存知ですか?
- どのスポーツも元プロ、元日本代表クラスの方が講師で来てくれて指導してくれる
- 馴染みのないスポーツを体験できる
- 初めてのお友達との交流、コテージでのお泊りなどを通して、人間的成長ができる
当ブログは、今回特別に「USF スポーツキャンプin徳島」の取材をさせて頂きました。
徳島で小学生のお子様をお持ちの親御さんは必見です。また、ボランティアや子供達との交流がしたいな、と考えている徳島の方もぜひご覧ください。
財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション(USF)
「USF」という名称。
これは一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション(USF)の頭文字をとったものです。

当初は東日本大震災で被災した福島の子ども達が、運動不足から肥満になってしまう事を防いだり、スポーツを通じて様々な支援しよう…という目的で設立された非営利団体です。
震災から年数が経ってきて、最近では次のステップとして福島だけに限定せず、日本各地の子ども達をスポーツを通じて心と身体の成長を、という活動になってきてるそうです。
USFの代表理事である諸橋寛子さんのインタビューは記事後半にありますので、お楽しみに。
まずは気になる「USFスポーツキャンプin徳島」のイベント内容や参加者のをご紹介します。
阿部一樹さんが講師のサッカー体験はこんな感じ
先日も当ブログがインタビューをさせて頂いた、元徳島ヴォルティスの阿部一樹さんが講師を務めたのはサッカー部門。


サッカーは小学生にも経験してるコが比較的多いスポーツ。でも、まったくサッカーをやった事がない、スポーツが苦手だ…という子ども達も参加しているのがこのスポーツキャンプです。様々な経験値の子ども達同士でも楽しめるように、内容には趣向が凝らしてありました。
シュート練習ゲーム!
これはシュート練習のゲーム。でも、何やらゴールの中に赤ポールが置かれます、なんだアレは…?

ただゴールに入れればOK!…ではありませんでした。
- ゴールの両端に入れば、+1点
- 外れてしまったら、0点
- そしてゴールの真ん中入ってしまったら、-1点

真ん中に入れてしまったら-1点、と聞いて子ども達は一斉に「え~~~」「マジかよ~」

と、この反応(笑)。
ところが、いざゲームが始まると、みんな立て続けに端っこにファインゴール連発でした!

カーリングサッカー
カーリングとサッカーを合わせたようなゲームも行われました。
- 先攻チームがボールをエリア内に止めるように蹴る
- 後攻チームも同様だが、先行チームのボールを弾きとばしてもOK!
- 先攻、後攻を入れ替えてもう1ゲーム行い、合計得点の多いチームの勝ち

このゲームは意外と蹴る強さが難しくて、みんなエリア内に止めるにひと苦労。サッカー未経験者の子がピタッと止めたりして、チームから大歓声が上がってました。

また、せっかく先攻時にエリア内に止めたのに、後攻チームに弾き飛ばされてしまい「あ~」と悲鳴をあげる子も。逆に、エリア内のボールを弾き飛ばそうとして強く蹴って失敗してしまい、はるかかなたにボールが飛んでいって、頭を抱える子も。

チーム同士でボールを蹴りだす、守る
こんなミニゲームもありました。
- ボールキープチームと、ボール蹴りだしチームに分かれる
- ボールキープチームのボールを何秒で全部エリア外に蹴りだせるか
- キープチームと蹴りだしチームが入れ替わる
- 蹴りだし時間が早かったチームの勝ち
- ゲーム前に作戦時間として2分間が与えられる
ゲーム前に作戦時間が与えられたので、みんなで輪になって相談。最初はボランティアのお兄さんがキッカケづくりをしました。次第に子ども達からも「こうしたらどうかな」「それいいね」などと会話が生まれていきました。

黄色チームは阿部さんが作戦を伝授!

そして…ゲームスタート!

黄色チームが一気に襲いかかります。ものすごい勢いで蹴られてしまうので、緑チームは作戦が上手く実行出来ません!アッという間にボールが全部エリア外に蹴りだされてしまいました。
ちなみに、一つのボールを皆が円陣になって守る、という作戦は反則だそうです(笑)。実際のところ、戦術的に上手くボールをキープするにはどうやったらいいんですかね、見ていても私には良い案が浮かびませんでした。
気になる暑さ対策は…
このように初心者でも、楽しくサッカーが楽しめるゲームを行っていましたが、子ども達を預ける親御さんとしては、気になるのが暑さ対策。

ゲームは、ほぼ2~3分交代で行われていました。そこからさらに先攻・後攻が頻繁に入れ替わっていました。そのたびに給水タイムや休憩がこまめに入れられていました。

この暑さですから、子ども達が事前に用意していたお茶はすぐに空っぽに。でも大丈夫。ご覧のような大きなタンクに冷えた水が用意され、お兄さんやお姉さんと一緒に水を水筒に移し替えていました。

また、サッカーが行われていたのは、野球場の芝生の上。まともに熱気が照り返すアスファルトの上とは違い、芝生に熱気が吸収されて、照り返しはかなり弱まっていました。
また、塩分補給にラムネのようなタブレットも配られていましたよ。
ただ間違いなく暑い中なので、スポーツ体験講座では
- 小まめな給水・日陰タイムの導入
- 小まめなゲーム・チーム・攻守の入れ替え
- 一人一人順番に蹴るゲームの導入(待機の子どもは休める)
という工夫をしていて、この暑さの中で子ども達が5分以上も走り続けるという事はありませんでした。講師の阿部さん、主催者のUSFさんもこの点はかなり気を遣ってました。

一回目の講義終了後、阿部さんにお話を聞いてみました。
…と、次々にいろんなコの感想が。私、その場に一緒にいたのに、全然気づきませんでした。30人ほどの子ども達が参加してたのですが、子ども達一人一人をよく見てらっしゃる事を知り、ビックリしました。
サッカーの体験イベントの講師として意識してる事は、
昨年からの反省で、一つのゲームを長くするとダレてしまいがちだったので、パッパッとどんどん違うゲームを進めた方が締まるかな、と思って今年はやりました
との事でした。こうやって回を重ねていくごとにアップデートされていくんですね。
バレーボールは山内美加さん
この日はサッカーだけでなく、バレーボールの体験もありました。こちらの講師は元バレーボール日本代表の山内美加さん。

もう現役を引退して二十年ほど経っているはずなのに、実際に目の前で見ると、身体のつくりが一般の方とはやはり違います。大きいだけじゃなくて、とてもしなやかな身体でした。
バレーボールも、まずはボールと慣れ親しむところからスタート。

次は真上にトスをしながら移動。少し難易度が上がりました。そして、ネットのところを上手くトスでボールを越しながら、自分もネットを下からくぐらないといけません。
ここで子ども達が失敗して、「ああ~」「失敗した~」と悲鳴や歓声が起きてました。

バレーボールも給水は小まめに入れられていました。

次はチームで輪になって、トス・レシーブが何回続けられるか挑戦!
イーチ、ニー、サーン…回数が増えていくにつれて、みんな笑顔と緊張が入り混じった顔に。記録を更新すると歓声が上がっていました。

段々と難易度が上がって、お待ちかねのスパイクの練習。ここは皆、「ヤー」「オリャー」とボールを力の限り叩いていました。

最後はゲーム形式の試合をして終了。集中しているとアッと言う間に感じます。最後はみんなで記念撮影。

お待ちかね、夕食タイム!
スポーツ体験は1日に二種目なので、この日はこれでおしまい。そして、お待ちかねの夕食タイムになりました。

まだ初めて会ってから半日なのに、もうすっかり打ち解けています。子ども達のコミュニケーション能力には脱帽です。

ボランティアのお兄さんともすっかり仲良し。

参加者のコにお話を聞いてみた
りお君

経験者ばかりだと、やっぱり上には上がいて大変ですから(笑)
みんなでワイワイとやって、本当に楽しかったです!
なんてイイ子なんだ。イジワルな質問してゴメンよ。多くの子ども達が、りお君のように、お友達の上手い下手に関わらず、応援を送ったりしていました。
ボランティアの方に聞いてみた
ボランティアスタッフの方にもお話を聞いてみました。
ゆーすけさん

実は3日前に徳島入りしてまして、鳴門から始まって、香川、愛媛、高知と、四国を回ってからこのキャンプに参加してます
将来は指導者とか子どもを教えるような仕事につきたいとかですか?
まだ仕事をどうする、とまでは考えていません。でも、スポーツキャンプは楽しいですね。
ルイスさん

でも、7箇所も掛け持ちして忙しいので、なかなか日本の子ども達とゆっくり接する機会がなかったのです
このスポーツキャンプでは、しっかり子ども達と接することが出来て嬉しいです
このように、ボランティアスタッフの方も様々な目的で、このスポーツキャンプに来られています。
ただ、事前に私が想像していたよりも、イイ意味で気軽なイメージでした。「子ども達と遊んでると楽しいので」、「観光も兼ねて来ました」といった方も多かったです。
代表理事にお話を聞いてみた
お待ちかね、「USFスポーツキャンプin徳島」を主催されている、一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション(USF)の代表理事の諸橋寛子さんに、忙しい合間をぬってお話を伺わせて頂きました。

このUSFは、設立して3年くらいは「震災復興」のみの活動をしていたそうです。徐々に復興もしてきて、今では復興支援…と言える活動は、福島で「福島こども力プロジェクト」のスポーツ部門だけになったそうです。
USFは、現在では震災復興支援からもう一段階ステップアップをして、日本全国を舞台とした、「スポーツを通じた教育、人材の育成」というような方向で活動してらっしゃるそうです。スポーツを通じて、運動能力の向上はもちろんですが、コミュニケーション能力やリーダーシップも身につけてもらったり…といった事ですね。
意外とこれだけの設備、条件が整っているところは少ない
そして、まぜのおかさんには(向こう側で働いてらっしゃる、まぜのおかスタッフさんたちを見て)本当に良くして頂いてます、感謝しかありません
お陰様で、ここ最近はだいぶ私たちUSFスポーツキャンプの事も知れ渡ってきました。ありがたい事に自治体さんから誘致をして頂ける事も増えてきました
原因は何か、と考えたところ「現地集合」がネックになったのではと…
これだと親御さんはお仕事を休まないといけませんよね。そこを反省して、第2回からは、希望者には徳島駅からのバス往復オプションをつけました
これが受け入れられたのか、第2回の徳島スポーツキャンプは抽選になるほどの盛況でした
今回で3回目、今回も80名の枠は一旦埋まったのですが、ここ最近の猛烈な暑さを理由としたキャンセルが相次いでしまいました。親御さんがこの暑さを心配されるお気持ちは十分に分かるので致し方ないかな…と思います
子どもの教育は、学校だけに任せるものではなく、かといって親だけが背負いこむものでもなく、その「地域」全体で担っていく事が理想だと、私たちは思っています
徳島の子ども達は、徳島の人、地域で育てていくのが理想かと。その一端を当キャンプが担えたらいいな、と思っています
今回のボランティアスタッフさんは約15名だったのですが、実は関東から来てくれてる方が多かったんです。これまでだったら関西の方も来てくれてたのですが、今回は試験と重なってしまったそうです。
諸橋さんによれば、ボランティア時に支給される交通費はアルバイトを5~6時間したくらいの金額をイメージして頂けば、との事。
キャンプ中の食費、宿泊費はすべてUSFの負担だそうです。徳島に在住の方なら交通費が大赤字になる事はない(徳島市周辺の方なら余裕で大丈夫)ので、子供と接したり、スポーツを一緒にしてみたり、といった活動に興味のある方は、ぜひ応募してくださればと思います。

私が少し驚いたのは、この代表理事の諸橋寛子さん、当スポーツキャンプの徳島駅でのバス待ち合わせから、「まぜのおか」でのイベント、お泊り、そして再び徳島駅でのお別れまで、すべての日程に同行されているという事です。
当たり前と言えば当たり前の事かもしれませんが、スタッフ任せにせず、代表理事の方がしっかりと現場を見てくれているのは、安心感がありますよね。
徳島の方にボランティアに来てほしい
夕食の時間、ボランティアのスタッフの方は皆さんは心地よい疲れを感じつつも、充実した表情をされていました。
ボランティア、というと日本では「意識高いね―」などと揶揄される事もありますが、単純にちょっと子ども達と遊んでみよう、という感覚でも少なくとも当キャンプではOKだと思いました。
自分は人見知りだし、子ども達を楽しませる自信がない、という方もいらっしゃるかもしれません。でも、そんな心配はするだけ無駄かもしれません。

子ども達と接していると、自然とコチラも笑顔になってしまうんですよ。
取材でイベントを見てただけの私も、全然そんなつもりなかったのに、いつの間にか笑顔になってしまったくらいですから。
徳島で暮らしている方で、こういうイベントに興味がある大学生や社会人の方はたくさんおられると思います。当記事で雰囲気を知って頂き、「これなら私でも出来そうかな」と思って頂けたら幸いです。
USF スポーツキャンプin徳島まとめ
スポーツキャンプの雰囲気が伝わるように、写真を多めにしてみました。子ども達がイキイキとキャンプを楽しんでいる様子が伝われば幸いです。
諸橋さんによれば、徳島駅で集合した直後のバスの中は「シ~ン」としていたそうです。でも、一時間も経てば、もうバスの中は「ワイワイガヤガヤ」状態だったそう。

これ、子ども同士だから日本全国どこでもそうなのでは、と思ったら案外そうでもないそうです。
との事です。
この「USFスポーツキャンプin徳島」の参加資格は、小学3~6年生。参加費用は二泊三日の行程で15,000円、徳島駅からのバス送迎オプションは+2,000円です。※参加費用は今後変更される可能性がございます事をご了承ください
徳島で暮らしている、小学生のお子さんがいらっしゃる親御さん。
ぜひ一度、お子さんをこの「USFスポーツキャンプin徳島」を体験させてみてはいかがでしょうか。最初は嫌がったり、緊張したりするかもしれませんが、スポーツをしながらなら、アッと言う間に初めてのお友達とも打ち解けますよ。
同じ徳島県内ですから、お子さんにとって初めてのお泊り体験には持ってこいでしょうし、お子さんの人間的成長にも一役買ってくれる事、間違いなしのイベントです。ぜひ、ご検討ください。
以上、「USFスポーツキャンプin徳島」のレポートでした。
代表理事の諸橋さん、USFの皆さん、講師の阿部さん、山内さん、ボランティアスタッフの皆さん、そして子ども達のみんな、取材をさせて頂きまして、本当にありがとうございました。

団体名 | 一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション(USF) ※非営利団体 |
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代表理事 | 諸橋寛子 スペシャルオリンピックス日本・福島 副理事長 一般財団法人脳神経疾患研究所 理事 NPO法人ザ・ファースト・ティー・オブ・ジャパン理事 |
HP | http://www.unitedsportsfoundation.org/ |
連絡先 |
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補足 | 徳島駅前集合、バス送迎あり |